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Sola's daily diary, commit logs, and all

ジーニアス英和辞典第6版を買ってしまった話

英語辞書を初めて手に入れたのは高校に入るころ。それまでは教科書の巻末の単語集を辞書代わりに使っていたが、私が入学した高校では指定の辞書を買うことになっていた。当時買ってもらったのは、「エースクラウン英和辞典第2版」。今でも現役で使い続けている。

その後、受験勉強にあたり、カシオの電子辞書「XD-G4900」を購入した。購入の動機は様々あるが、紙の辞書は持ち歩くのが大変だとか、そんな理由だった記憶がある。エースクラウンは親にお金を出してもらって買った辞書だが、電子辞書は自腹。確か、趣味で集めていた電子機器をメルカリだか何だかで売却して、そのお金で電子辞書を手に入れたと覚えている。自分で買ったものはそれはそれは大事にするもので、今でも大学の英語の講義に持ち込んで活用している。

XD-G4900には満足している。ジーニアス英和辞典第5版に、リーダーズ英和辞典第3版、オックスフォード現代英英辞典、ロイヤル英文法、など非常に様々な書籍が内蔵され、それでいて非常にコンパクト。むろん、使いこなさなければ意味はないが、これらのコンテンツは実際に使ってみるとなるほど便利だ。ロイヤル英文法は文法を調べたり思い出すのに非常に適した、文法書のバイブルとして使える。リーダーズは用例や解説の少ない「さっぱり」した辞書として語義を調べるのに最適。ジーニアスはリーダーズと対照的な辞書で、単語の使い方や用例にフォーカスされている。漢字を忘れたときは、国語辞典で日本語を引いたりすることもしばしば。とにかく、電子辞書が1台あればなんでもこなせるうえ、持ち物を軽く小さくできるという点では、紙の辞書とは比類にならない利便性がある。

電子辞書に大きな欠点があるとすれば、ページの一覧性の悪さだ。これに尽きるといってもよい。
上の画像では、 "let" をジーニアスで引いている。ジーニアスは解説と用例の多い辞書だが、頻出単語や語義の多い単語を引くと、画面全体が文字で埋まってしまう。何度もスクロールしないと語義をすべて確認できない。スクロールも非常に遅く、1画面分スクロールするのにおよそ1秒を要する。手早く調べ物をしたいときには、レスポンスの悪さと一覧性の悪さにはうんざりさせられる。

電子辞書の購入がきっかけでジーニアスに触れた私は、長らく「なんて使いづらい辞書なんだ」と思い込みながら単語を引き続けていた。しかしよく考えれば、本来の姿である書籍版のジーニアスを引いたことはなかった。書籍版と電子辞書版の使い勝手の違いが気になったので、実際に使い比べてみることにした。

大学の図書館に足を運ぶと、ピカピカの姿の「ジーニアス英和辞典第5版」が2冊並べてあった。久しぶりに引く紙の質感や、素晴らしいほどに高い一覧性に惚れ込み、辞書を引くという行為の楽しさを思い出させてくれた。

それから1か月。気づけば、新しく出たジーニアスの第6版を買ってしまっていた。

第6版では、第5版になかった新しい単語が追加され、古い単語が削除されたという。普通に辞書を引いていて、この違いは良くも悪くも気になることはない。新しい単語は辞書を頼らずに検索で調べることが多いだろうし、すでにニュースなどで見聞きして知っている単語も多い。それに、古すぎる単語はこの辞書に載っていなくても諦めはつく。私にとって、新語がどれだけ辞書に載っているのかというのは、辞書に求めるポイントではない。ただ、あえて第6版をフォローするならば、定評のある第5版の内容が大幅に改定されることなく、順当に内容をアップデートしたということ。改定直後の辞書では、単語の説明や収録内容の妥当性が議論されることがあるが、その点第6版は第5版の内容をほとんど継承しており、安心して購入できると考えられる。

普段の生活の中で、紙の辞書を引く機会は減ってきている。スマホや電子辞書で意味を調べるのも良いが、一覧性の良さはやはり紙の辞書が優れていると感じる。一つの単語の意味を隅々までじっくり確かめられるだけではなく、同じページにある他の単語も目に入るという点も紙ならではの特徴。質感や手触りを楽しむのもよい。「調べる」だけではない、辞書の新たな楽しみ方を見つけることができた。