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Sola's daily diary, commit logs, and all

BD-H51 光学ドライブの故障は持病か?

実家のシャープ製ブルーレイディスクレコーダー「BD-H51」を修理しようと試みています。

2012年製の本機は、様々な部分が老朽化しており、BDドライブが自然故障してCD/DVD/BDを読み込まなくなったのが最初の故障です。その後の2018〜2019年ごろ、ファンが経年劣化により回転しなくなったことでエラーを吐いて電源が落ちるようになりました。これを機に、使用をやめてテレビラックから撤去、押し入れに数年間しばらくしまい込んでいました。

ブルーレイやDVDを観れたらいいなと、最近修理に着手したわけですが、HDDが”張りつき”によりランプからプラッタにロードできなくなる症状もその後発生(衝撃を与えると治りましたがなんとなく不安です)。

満身創痍なBDレコーダーですが、ファンとHDDは荒療治によりなんとか復活。ファンに関しては、軸を引き抜いてカピカピのグリスを拭い、タミヤモリブデングリスを注入して再び組み上げるという、ファン屋さんが見れば泡を吹いて倒れそうなやっつけ仕事で直しました。場当たり的な修理なのはわかっているので、限界が来たら交換するつもり。

最後まで修理できなかったのがBDドライブ(パイオニア BDR-L07SH-XP)です。スピンドルモーターやシークモーターは動作しますし、対物レンズも動いているのですがディスクを全く読み込めません。CD/DVD/BDの3種類のディスクが読み込めるはずなのですが、いずれも全く読み込めません。ドライブを酷使していたわけではなく、BDについては1層ディスクを延べ10枚分ほど書き込んだだけ。DVDはレンタル作品を平均して月に1〜2度ほどのペースで鑑賞していたように思いますが、CDに至っては、ほぼ全くと言っていいほど読み込み歴がありません。そんなわけで、レーザーダイオードやフォトダイオードなどが経年劣化したとは思い難いです。

思い当たるのは「ホコリ」です。ドライブの前面パネル付近はホコリで激しく汚れ、ドライブ内にもホコリが侵入していました。しかしながら、ピックアップ部は至って綺麗で、ピックアップの内部の光学系がホコリで汚染されたようには見えないことから、ホコリによる故障とも断定できません。これ以上の原因究明は難しそうなので、一旦ここで投了。

さて、ヤフオクでシャープ製BDレコーダーに適合するBDドライブを探していたのですが、BDR-L07SH-XPの出品を見ているとジャンク品の出品が多いです。動作確認していない出品もありますが、私の手元にあるものと同様、ディスクを全く読み込まなくなったものを出品しているケースも目立ちます。

後継ドライブと思われる、BDR-L08SHB-XPを調べてみると、こちらは動作確認が取れている出品の割合が多く、動作品の相場も少し安くなっています。来月あたり、お小遣いに余裕があれば買うかも...。

ところで、BDR-L07SH-XPのほうがジャンク品が多いのはなぜでしょう?年式が古く劣化が進んだ製品が多くなっている可能性もありえますが、L07SHに欠陥や弱点があり一部の部品が故障しやすい、つまりディスクを読み込まなくなる持病を抱えている、という可能性は指摘できないでしょうか。
あるいは、ドライブ自体がホコリの侵入を許しやすい構造になっているとか、さらにはドライブではなく本体側のエアフローに問題があった、などという可能性も無きにしもあらずですが。

原因がわからない故障、というと腑に落ちないので、分からない原因ほど詳しく突き止めたくなってしまうのが私の悪い癖。そんなわけで光学ドライブ全般の劣化要因などをここ最近考えていたところなのですが、機種固有の持病というところになんとなく着地しそう?なのは少し意外でした。

ATX電源を自由にON/OFFできるワイヤーハーネス

実家の電子部品置き場で探し物をしていたときにたまたま出てきたので紹介してみようと思う。

ATX電源の24ピンコネクタに挿して使うワイヤーハーネス。

市販の、ATX24ピン用延長ハーネスを半分に切って、レセプタクルがついているほうにスイッチをはんだ付けしただけのもの。切りっぱなしにした電線を剥いて、好きな回路をつなげて使う。
こんなの、簡単すぎて工作とは言えないかもしれない。

このハーネスの良いところは、「ATX電源本体に傷を付けずに済むこと」と「安全・確実にATX電源を繰り返しオンオフできること」。
たとえば、電源本体から出ている電線を切って、元々ついていたコネクタの代わりに何か他のものをつなぐような加工をすると、ATX電源を本来のPC用電源として再利用するのは難しくなる。また、24ピンコネクタのPS_ON端子を銅線などでGNDに落とすという簡便な方法もあるが、接続の確実性は低く、オンオフを切り替えるのも手間である。
このようなハーネスを作れば、既存のATX電源に傷を付けないまま、自由にATX電源をオンオフして好きな用途に使える。

ATX電源はなにかと便利で、3.3V、5V、12Vと、電子工作で頻繁に使う電圧を1台で出力できる。扱える電流容量もなかなかのもの。大電力を扱うような電子工作では重宝する。

日常でもよく使われる麻雀由来の言葉

雀魂をするようになって、日本の麻雀で使われる用語が日常に自然に溶け込んでいることに気づき、とても面白いと思ったのでまとめてみます。

国語辞典を引いて掲載があれば意味を参考にしていますが、基本的に私自身の言葉でまとめています(なのであまりアテにしないでね)。

頻繁に使われる言葉

生活や娯楽に溶け込んでいて、麻雀を全く知らない人でもついつい使うであろう言葉。

  • リーチ
    「リーチをかける」「ビンゴまで残り1マスになった人はリーチと言いましょう」など。
    物事が完成手前になったり、ゲームで勝つ一歩手前の状態など。または、それを宣言する際の掛け声。
    英単語"reach"とは意味も語源も無関係。
  • テンパる
    神経質になって焦ったり緊張する様子や、本人にとってなにか良いことや面白いことがあって動揺する様子など。「私は人前に出るといつもテンパってしまう」など。
    もとは、麻雀でテンパイした人が動揺する様子から由来しているとか。
    テンパるの原型の「テンパイ」を麻雀を打たない人が使っているところは見たことがない。
  • メンツ(面子)
    元は中国語で、「メンツが立たない」など面目という意味もあるが、「メンツがそろう」「うちのメンツは頼りがいがある」など人に対して使うメンツは麻雀に由来していると思われる。
  • アンパイ(安牌)
    安全牌(手牌から場に捨てても、他のプレイヤーにアガられるおそれのない牌)に由来。転じて、選択肢がいくつかあるうちの無難な方策などを指すことが多い。「プログラムの書き方に迷ったら、後で自分が読んで困らない書き方にしておくのが安牌だろう」など。
  • 連チャン(連荘)
    主にゲームにおいて、プレイヤーに有利な状態が続くこと。また、物事において、ある状態が継続したり、何らかのチャンスが連続して訪れること。
    麻雀を打たない人は「連続チャンス」の略語と認識しているのではないだろうか。

時々見かける言葉

頻出とは言い難いもののよく世俗に根付いていると思われる言葉から、麻雀を多少知っている人なら使うだろうという言葉をピックアップ。

  • 半チャンセット(中華料理店などで)
    私の知る限りでは、中華麺料理とチャーハンをセットにしたメニュー名に限って使われる傾向がある。由来は紛れもなく「半荘」から。麻雀を知らない人のなかには「半チャーハンセットを略して語呂を良くしたもの」と思う人もいるかもしれない。
  • 役満、数え役満
    程度が甚だしく尋常ではない形質や物事がいくつも揃っていること。悪い意味を強調するために用いられることも多い。
    「部下の遅刻が今月5回目だ。彼は昨日早退しているし、先月は12件も発注ミスをしている。役満を通り越して呆れるばかりだよ。」
  • チョンボ
    失敗を意味する言葉。
  • リャンメン(両面)
    「りょうめん」を中国語風に読んだだけ。リャンメンテープ、など。麻雀が好きな人が、時におどけて使うのを見かける。

麻雀由来かは怪しい言葉

麻雀をしていると必ず使うが、由来が不明な言葉。

  • あがり
    麻雀のあがりは「和了」と書いて中国語では「ホーラ」と発音するものの、日本では訓読みをあてて「あがり」と読むことが多い。
    トランプやすごろくなど、主に3人以上がプレイするゲームにおいて、あるプレイヤーがゲームを終了し、ゲームを終えていないほかのプレイヤーが終了するのを待つだけの状態に移行することを「あがり」「あがる」などという。
    広辞苑第六版「あがり【上がり・揚り】」では「すごろくで駒が最終の場所に進むこと、トランプなどで勝負がつくこと」と紹介されているので、もともとすごろくで使っていた言葉を麻雀に取り入れたのだろうか?
  • 親・子
    3人以上で遊ぶゲームにおいて、親と子に分かれる場合がある。親はたいてい、そのゲームを中心として進めたり、札や駒などを最初に打ち始めたりする。由来は調べてもわからなかった。
    日本の麻雀では、親があがったときは子の1.5倍多くの点数を獲得できるので、親と子の違いには大きな意味がある。ゲームによっては、親と子の関係はほとんど対等であることもある(単に、進行役として必要なので親がいる場合など)。血縁上の親子とは関係がなく、むろん上下関係とも関係がなく、各プレイヤーが輪番で親になるゲームもあれば、じゃんけんで決めたり、慣れている人が親を務めるなどゲームの性質によってさまざま。

    余談だが、人狼TRPGなどでは進行役を親ではなくゲームマスターGM)と呼ぶなど、界隈によっては親・子の呼び分けがめったに使われない例も見かける。
    (親のいるゲームでは、親自身もプレイヤーとしてゲームを遊戯するけれど、GMのいるゲームではGM自身はゲームを遊戯できずプレイヤーの世話役に徹する、という違いがあるのかな?)

浄化槽の詰まり 点検とポイント

私の実家にある合併処理浄化槽が、毎年年末年始ごろからよく詰まるので要点をまとめる。

実家で使用している浄化槽について

  • ニッコーNSR2型 5人槽
  • 使用人数 5人
  • 維持管理契約あり(年6回の定期点検、年1回の清掃)
  • 清掃時期: 5月ごろ

図面や維持管理要領書は下記から閲覧できる。

販売終了機種の資料請求 | 浄化槽 | 「水創り・環境」ブランド | NIKKO ニッコー株式会社 石川県 白山市

槽内の詰まりの状況

  • 流入管がつかる
  • 嫌気ろ床槽1室・2室が両方とも最高水位を超えて満水である
  • 嫌気ろ床槽2室と生物ろ過槽への移流部に水位差がある
  • 生物ろ過槽への移送量、処理水槽からの放流量が少ない
  • 大量の流入があると、本来超えないはずの仕切板を超えて水が流れる
  • 槽内で設計通りに水が流れないため放流水質の悪化が懸念される

浄化槽を設置している者には、法に基づいて適切に維持管理をする義務がある。水質保全のためにも、浄化槽の詰まりを解消して設計通りに浄化槽が機能するようすべきだろう。

詰まりによる住宅設備への影響

  • 洗面台の排水の流れが悪く、排水口を綺麗にしてもボウルに水が貯まる。しばらく時間が経つと流れ始める
  • 浴槽の栓を抜くと、浴室に隣接する洗濯機の排水トラップの水が吸い出されて空になり、悪臭がするようになる
  • キッチンのシンクに水を流すとゴボゴボという音が止まらなくなる

これらは、排水管中で2重トラップが自然発生したことによる現象。具体的には、浄化槽の流入管が浸かって汚水で満たされた部分がトラップのように振る舞う。本来のトラップは、洗面台や洗濯機パン、便器、キッチンシンクなど、水を使う場所ごとに設けられている。トラップが2重にあると、水が流れなかったり、逆に水が吸い出されたり、厄介な挙動をする。

なお、上に挙げた3つの現象は必ずすべてが起こるわけではなく、毎年症状が微妙に変わる(今年は悪臭の発生は目立たなかった)。

槽内の詰まりの原因

  • 嫌気ろ床槽のろ材の閉塞
    NSR2型は嫌気ろ床槽のろ材の充填量が多く、ろ材の目も細かいので、汚泥による詰まりが頻発するらしい。嫌気ろ床槽2室が特に詰まりやすいが、汚泥やスカムが多いと1室でも2室でも関係なく詰まりが起こる。
    嫌気ろ床槽移流部の水位差が大きい場合はこれが原因かも。
  • 間欠定量ポンプの汚れによる動作不良
    NSR2型では、空気圧駆動式の間欠定量ポンプによって、嫌気ろ床槽2室から生物ろ過槽に汚水を汲み上げている。このポンプ内に生物膜が付着し、弁の作動が妨げられたり内部容積が減少すると汚水の汲み上げ量や揚程が減少する。この場合、ポンプの吐出水がエア噛みを起こす。
    移流部の水位が間欠定量ポンプよりも高いのに汚水が移送されないのはこれが原因かも。

うちの浄化槽を点検した限りでは、この2つが詰まりの主な症状だと思う。他には目立った症状は確認できていない。

槽内の詰まりの解消

浄化槽維持管理業者に連絡し、臨時で詰まりの解消を行ってもらう。嫌気ろ床槽については、ブロワーでろ材の逆洗を行うことでほとんど解消する。間欠定量ポンプについては清掃方法が認知されていないのか、私が作業方法を伝えないと清掃してもらえないことが多数ある...。

対応を見ている限り、担当者によって原因の切り分けや作業内容の当たり外れがある。特に、毎回の定期点検を担当してもらっている方はあまりこの槽に詳しくないのかなという印象がある。(もっとも、浄化槽管理士よりもユーザーのほうが浄化槽に詳しいということは普通ではないと思うが...)
電話や現場での応対は非常に好印象で、対応のスピードも迅速で電話したその日のうちに駆けつけてくれる。できれば普段から良いメンテナンスをしてくれると文句はないのだけど。

たとえば車の整備や修理でも、担当いただく整備士さんによって整備や診断の質が違うということはよくあると思うが、浄化槽の維持管理でもそれと同じ現象が起きているように思う。

LinuxからMultiWriter 5750Cで印刷するために格闘したはなし

どのプリンターも、WindowsおよびmacOS用のドライバーは発売後長期間にわたって公開されている傾向にありますが、Linux用のドライバーについてはそうではありません。メーカーがLinuxでの印刷をサポートしていないことが多いほか、一度は公開されたドライバーの公開が取りやめられることもあります。

前回の記事で取り上げた、私が愛用するMultiWriter 5750Cは、Linuxでの印刷がサポートされていないプリンターです。

手持ちのプリンターにLinux向けドライバーが存在しなくても、仕様が似ている別の海外機種のプリンタードライバーを当てると印刷できることがあります。

このプリンターは、Xeroxがプリントエンジンを作って部品を供給しています。ひとしきり、Xerox富士ゼロックスのプリンタードライバーを当てて試したのですが、うんともすんとも言いません。星の数ほどもあるドライバーリストの中から、MultiWriter 5750Cとそっくりの見た目の「Phaser 6130」のドライバーを探し出してみたのですが、やっぱりダメです。

プリンターの仕様を調査する

プリンターが受け付けられるプリント言語(PDL: ページ記述言語)の種類によっては、汎用のプリンタードライバーが使える場合があります。中でも、PCLは多くの業務用プリンターがサポートするプリント言語です。PCL対応プリンターの場合、メーカーがLinux対応を公称していたり、純正ドライバーを配布していることも多いです。

このプリンターの仕様について、メーカーの資料をあさったりWireSharkでパケットキャプチャして確認したのですが、残念ながら、PCLなどの、仕様が広く知られているプリント言語になにひとつ対応していません。唯一、HBPLという謎のプリント言語にのみ対応しているようです。

調べてみると「ホストベース方式」というもので、プリンター上のプリントプロセッサが行う仕事の一部を、印刷ジョブを投げるPC上で処理します。具体的には、印刷したいデータをラスターイメージに変換するなどして、独自のデータフォーマットでプリンターに印刷ジョブを送信します。

ホストベース方式の利点は、プリンター上のハードウェアの性能を削減出来たり、ソフトウェアの実装を簡略化できることにあります。その反面、プリント言語が機種依存になりがちなようです。

こういったプリンタードライバーは開発が大変なのか、有志によりOSS版のプリンタードライバーが作られることも稀なようです。

さて、Xerox製のHBPLプリンターとしては、Phaser 6000/6010という機種がLinux向けのドライバーを配布しているらしいと知って、ダメ元でドライバーを当ててみたのですが、やっぱりダメでした。

メーカーがドライバーを配布していた?

さて、このプリンターはメーカーがLinuxでの印刷をサポートしていない、ということを先に述べました。よく調べてみると、発売元のNECにより、一時期Linux向けのドライバーが公開されていた時期があったようです。

そういえば、Ubuntuを使っていた2018年ごろの時期に、MultiWriter 5750Cでテストページを印刷することに成功しています。当時のことはもう覚えていませんが、このプリンターに非プロプライエタリ版のドライバーは存在しないはずなので、メーカー公式のドライバーを当てたことがあるはずです。

2018年頃、Ubuntuから本機でテスト印刷をした写真

どういうわけか、今ではドライバーの配布ページも消されてしまっているようです。もともと無保証で公開されていたものですが、継続サポートもされず、deprecatedになって消えていったのでしょうか。

ドライバーを入手する

本プリンターのLinux版ドライバーですが、ドライバーの配布ページはすでに削除されており、アクセスしても404が返ってくる状況です。

ですが、ドライバーファイルのURIを直接叩けば、2023年8月30日現在ではまだダウンロードできる模様。

以下に紹介する、有志の方のブログ記事に、debパッケージ形式のドライバーファイルへのリンクが掲載されています。

inux.blog.jp

私はopenSUSEを現在使っているので、RPMパッケージを探しました。

NECによるLinux用プリンタードライバーのマニュアルを頼りに、RPMパッケージのURIを探り当てました。

ダウンロードしたドライバーはamd64には対応していないので、32bit版のlibcupsを導入する必要があります。あとは通常の手順でCUPSにプリンターを追加すれば印刷に成功しました。

ドライバーのURI

ドライバーファイルは以下のURIからダウンロードできました。

⚠️リンク先のドライバーの利用を推奨するものではありません。メーカーにより予告なくドライバーの公開が停止されることがあります。

http://jpn.nec.com/printer/laser/support/os/linux/download/data/xrc-driver/mw5750c/nec-multiwriter-5750c_1.0-2_i386.debdeb形式)

https://jpn.nec.com/printer/laser/support/os/linux/download/data/xrc-driver/mw5750c/NEC-MultiWriter_5750C-1.0-1.i386.rpmRPM形式)

所感

私のように、Linuxデスクトップを使用し、印刷までする、というユーザーは少数派かもしれませんが、そのようなユーザーはプリンター選びに注意したほうが良いかもしれないと感じました。昨今は、Linux向けのハードウェアドライバーが有志の開発者やメーカーによって豊富に提供されていますが、プリンターについてはそうではありません。OSSのプリンタードライバーを開発するプロジェクトはありますが、提供されているプリンタードライバーはごく限られています。

少なくとも、PCLのような、仕様が広く知られているプリント言語に対応したプリンターを使用すると、余計な沼にハマらずに済む可能性が高そうです。

自宅でカラーレーザープリンターを7年使ってみたはなし。

カラーレーザープリンターNEC MultiWriter 5750C」を自宅に導入してからちょうど7年。設置してからこれまでに5400ページほどを印刷してきました。

このプリンターを購入したのは、私がまだ高校1年生だった2016年ごろ。夏休みに初めてアルバイトをして貯めたお金で買ったものです。普通、カラーレーザープリンターというと安くても定価で8万円くらいはするものですが、この機種は当時在庫処分で投げ売りされており、格安で買える定番機種としてレビュアーの間で話題になっていたのでした。私のAmazonの注文履歴を見ても、確かに当時17980円で買った模様。

当時からかなりの機械オタクだったこともあり、レーザープリンターというものがどんなプリンターなのか、使用感がすごく気になって衝動買いしてしまいました。そうして愛着が湧いてしまい、未だに愛用しています。

2018年頃の写真。Ubuntuの印刷テストページを出力した様子

7年間の経過をざっくり辿る

7年間の延べ印刷枚数は5400枚、うちカラーが1100枚程度、モノクロが4300枚程度になります。沢山印刷しているように見えますが、仮に業務で使用すれば、この10倍以上を印刷することになるでしょう。ほとんどが両面印刷や裏紙への印刷で、なるべく紙を使わない・紙を買わないような工夫もしています。

様々な印刷用途に活用していますが、資格試験や大学入試の過去問を印刷して解いたり、講義資料の印刷などに多く使用してきました。

消耗品の購入履歴としては、4色の純正トナーを1本ずつ購入するのみ。ブラックのトナー1本で公称3000枚、それ以外の3色のトナーで公称1000枚の印刷ができます。全色で合わせて2万円と一見高価ですが、1年あたり3000円を切る費用で維持できています。

耐久性についても全く問題がありません。1度も故障することなく、ノートラブルで動き続けてくれていますし、印字品質の劣化も全く見られません。新品で買った当時の印刷品質そのままで今でも印刷できます。

ただ、1年半ほど前から、トナーカートリッジ付近よりカラカラというこれまでなかった異音が発生するようになってきました。特に異常は見られませんが、トナーカートリッジを交換すると直るものなのか、気になりつつ放置しています...。

カラープリンターのメリット・デメリット

カラー印刷ができるプリンターを購入すると、名刺印刷や年賀状の印刷など、カラーで印刷したいシーンに活用できます。実際にこのプリンターで名刺も年賀状も印刷したことがあり、便利に活用しています。ですが、こういった印刷の機会は年に1~2回程度と少ないことを考えると、キンコーズやコンビニ、ネット上の印刷業者を活用するのも一つの選択肢です。

カラープリンターはモノクロプリンターと比べて選択肢が絞られます。特に、個人が購入できる安価なカラーレーザープリンターは少ないものです。サイズも大きくなりますし、消耗品コストも上がり、印刷スピードは下がります。

また、デメリットとすべきか分かりませんが、カラープリンターがあると、モノクロで刷るべき印刷物もついつい無駄にカラー印刷しがちです。授業で配られるレジュメなどもカラーで印刷したりしちゃうんですよねえ。

このプリンターを選定したことには総合的に満足しています。しかし、もしこのプリンターを買い替えるとき、次回もカラープリンターを選定するかはまだわかりません。印刷が早くて消耗品コストが安いモノクロプリンターも十分魅力的だと思っています。

カラー印刷のランニングコスト

プリンターを使用するにあたり、インクやトナーといった消耗品を購入する必要が出てきます。このプリンターでは4色のトナーを使用しますが、ブラックのトナーに比べて他の3色のカラートナーが高価です。

モノクロ印刷とカラー印刷で1枚あたりのランニングコストを比較します。

本機種用の各種純正トナーの実勢価格を公称の印刷可能枚数で割ってトナー1本あたりのランニングコストを算出します。公称印刷枚数は、A4用紙に5%の印字率で計算されています。モノクロ印刷では、ブラックのトナーのランニングコストが分かればよいですが、カラー印刷では4本すべてのトナーを使用するので、各色のトナーのランニングコストを合計します。ドラムのコストは除外しています。

この手法で計算すると、モノクロ印刷のコストは、1枚当たり1.657円であるのに対し、カラー印刷では13.657円となります。カラー印刷には、モノクロ印刷の8倍以上のコストがかかることがわかりました。

職場や学校での印刷時、カラー印刷を控えるように指示された経験がある、という人がいるでしょう。実際に計算すると、カラー印刷には高いコストがかかることがわかります。カラー印刷の代わりにモノクロで印刷をすることは、コストカットの方法として明らかに有効です。

本機種の印刷の仕組み

上図は、レーザープリンターの構造を簡略化して描いた図です。MultiWriter 5750Cを真横から見た構造をもとに作図しています。現在市販されている多くのカラーレーザープリンターは、これと似た構造をしています。

レーザープリンターは、回転する筒状の部品であるドラムや、用紙の幅ほどもある太いベルトなどで構成されています。このような部品はインクジェットプリンターにはない、レーザープリンター固有のものです。

印刷には、光に反応して伝導性が変化する半導体材料と、静電気によるクーロン力を利用しています。おおむね、次の手順で印刷が行われます。

1. ドラムは感光性の材料でできた筒状の部品であり、帯電ローラーによってあらかじめマイナスに帯電した状態となっている。

2. ドラムのうち、印字する部分にレーザー光を照射する。レーザー光を照射した部分は電荷が失われる。

3. 現像器内部ではトナーがかくはんされ帯電している。現像ローラーを用いて、ドラムにトナーを均一に乗せる。このとき、レーザー光が当たった部分にのみトナーが吸着される。

4. ドラム上のトナーを用紙に吸着させる。転写ベルトを介して用紙には逆電荷がかけられ、トナーを効率よく用紙に転写する。

5. 用紙に転写されたトナーを、高温に熱した定着ローラーで紙に溶着させる。均一に用紙を熱するため、加圧ローラーで用紙を定着ローラーに押し付ける。

6. 印刷後、ドラム表面に残るトナーは廃トナーとして回収される。

このプリンターは、トナーカートリッジが現像器およびドラムとは独立している構造です。モノクロ印刷時はカラートナーカートリッジが消耗せず、経済的です。また、カラートナーを消費しきっても、すべてのカートリッジが装着さえされていればモノクロ印刷を継続できます。
ただし、モノクロ印刷時であっても4色分のドラムが回転し、用紙と接触します。このとき、現像器や廃トナークリーナーも動作し、一様に消耗します。ドラムは4色分すべてが一体となった構造なので、モノクロ印刷が多いと勿体なく感じるかもしれません。

レーザープリンターはどの製品も似た原理で動作しますが、機種やメーカーごとに構造が微妙に違い、消耗品にかかるコストも変わります。モノクロ印刷が安価なプリンター、カラー印刷が安価なプリンター、ランニングコストが高いがイニシャルコストが安価なプリンターなど、プリンターごとに性格はさまざま。用途に合わせた選定が大事です。

このプリンターに対する不満

このプリンターに対する不満はとても少なく、全体的に非常に満足しています。

不満な点は3つあります。

1つ目は、両面印刷機能がないこと。「両面印刷機能がない」というのは真っ赤な嘘で、オプションの両面印刷ユニット(廃盤)を買えば両面印刷が可能でした。2万円程度と、当時の私には手が届かず、購入を躊躇しました。

両面印刷は手動でもできますが、印刷ジョブを2回投げる必要があり、用紙の出し入れが必要なので、少数のページを手早く印刷したいときには不便です。両面ユニットは今でも欲しいと思い続けています。

2つ目は、手差し印刷をすると紙が斜めに送られること。紙が斜めに送られると、印刷結果も斜めになり失敗してしまいます。
このプリンターの手差し印刷は、紙を1枚ずつプリンターの奥に差し込むと、モーターが紙を引き込んでくれるという方式ですが、丁寧にまっすぐ入れても、紙が引っ張られるときに斜めに送られます。

3つ目は、ハガキや厚紙を印刷するときに紙が曲がってしまうこと。このプリンターは定着ユニットの出口で紙が90度曲がりますが、このときに紙が冷えて、曲がり癖がついているようです。特にハガキの場合は両面を印刷する必要がありますが、曲がっていると紙詰まりも起こりやすくなります。
排紙部で紙を曲げてしまう構造のプリンターは多く、水平に排紙できるプリンターはあまり選択肢がありません。厚紙を印刷したい場合は考慮すべきポイントです。

余談ですが、ハガキの連続印刷時には頻繁に印刷が中断して調整運転を行ってしまいます。一説によると、定着ローラーの中央のみを紙が通過することで端部が過熱してしまいます。このとき、熱で壊れないように印刷を止めて自然冷却を行うといわれています。速さが魅力のレーザープリンターですが、本機でハガキを連続印刷すると、平均速度はインクジェットプリンターと大差ありません。

まとめ

A4のカラーレーザーを購入して7年が経過し、そろそろ8年目を迎えます。カラーレーザープリンターの多くは高価ですが、中には個人にも購入しやすいモデルが存在します。カラー印刷のランニングコストは高価ですが、モノクロ印刷を積極的に利用することで効果的にコストを抑えて運用できます。耐久性に問題はなく、適切に使用すれば印字品質を損なうことなく長期間にわたって使用できました。

印刷が高速で、文字のにじみが少なくくっきり綺麗に印刷できるレーザープリンター。印刷の仕組みを知れば、機械マニアのあなたの所有欲をも満たしてくれること間違いなし(?)。あなたもおひとつ、ご家庭に設置されてみてはいかが?

――つづく

MisskeyのサーバーをVPSから自宅サーバーに引っ越しました

ノリと勢いだけでぜんぶやりました。

経緯

2023年のはじめにMisskeyのサーバーを建て、そこから1ヶ月余りが経った頃...。Misskeyのバージョンアップや連合先からの流入負荷増大についていけず、サーバーが重くなりつつあった。

Misskeyサーバーは、さくらの安いVPS(2x vCPU, 1GB RAM, 50GB SSD)上でバックエンドを動かし、Cloudflare経由で配信するという構成だった。メモリもCPUも恒常的に不足し、もっさりと重く、普段遣いしていてイライラするのが日常だった。しまいにはサーバーを建てた私自身でさえ、重さに嫌気が差してアクセスしなくなる始末。ところが奇跡的に、これ以上重くなることも動作が止まることもなく、首の皮一枚でトロトロと動き続けていた。構築から8ヶ月もの間、ズボラな維持管理とは裏腹に安定運用が継続できた。

VPSのスケールアップができれば良かったのだが、少ない私のポケットマネーでは、これ以上つよいサーバーを契約することは難しかった。

一方、手元には、古いビジネスデスクトップを改造したNAS兼開発サーバーが転がっていた。もともと、私がLinuxを勉強するために、Ubuntu Desktopを入れて使っていたマシン。4コア4スレッド、RAM4GB、256GBのSSDに2TBのHDD。スペックは十分にもかかわらず、今では十分に活用できておらず「役不足」であった。

「手元のマシンでMisskeyが動かせたら楽しいだろうなぁ」なんて考えていたら、手が勝手に動いて、気づけばサーバーの引っ越しまで終わっていた。

急遽決まったDebianへの乗り換え

自宅サーバーでは、Linuxの勉強を始めたての頃に入れたUbuntuが今も動いていた。サーバー化したときにデスクトップ環境を一掃したり、Ubuntu 22.10が出たときにdist-upgradeを走らせたりしたので、パッケージがもうごちゃごちゃのぐちゃぐちゃ。よほど整理して不要なパッケージを削除しても、まだ2000パッケージくらいが残っていた。

本番環境としてサーバーを動かすなら、無駄なリソースを浪費しないためにも、余計な穴を開けないためにも不要なパッケージは削除したい。

そんなことを考えながらちまちまパッケージを消していた7/15の夜、再起動後いつまでたってもSSHにつながらなくなる事件が突然発生。やってもうた。

mi.hk-shuttle.net

手持ちのディスプレイをつなぐと、カーネルは立ち上がるもネットワーク接続周りがダメそう。しかも、パスワード認証で弾かれてターミナルにログインできない...。

もう、こうなったら一層のことOSを入れ替えたほうが早い。

当時、必要なデータのほとんどは、OSとは別ストレージのHDDに入れていた。必要なデータの救出などを気にすることなく、OSの入っていたストレージをまるごと潰して新しいOSをクリーンインストールしても支障がなかった。

サーバーに使うOSにはDebianを選んだ。Linuxにはもうかなり慣れているので、リッチなサードパーティソフトウェアも不要だったし、OSの公式リポジトリでインストールできないソフトウェアも自分でリポジトリを探してインストールできる。OSのコンパクトさ、ミニマムさを優先したかったのと、Ubuntu以外にまともに使用経験のあるディストリビューションが少なかった。慣れているDebianディストリビューションの中で、サポートがある程度期待できて、コンパクトなディストリビューションとして浮かんだのが、Debianだった。

突貫でDebianをインストール&キッティング

7/18夜、Debianをインストール開始。ウィザードにしたがってサクサク進めていくだけで、特にハマりどころはなかった。当然GUI環境は無し、SSHサーバー以外はすべてプリインストールのチェックも外した。インストール開始から1時間くらいで、LAN内の端末からSSHできるように。

Ubuntuとの違いは随所に感じたけど、初期設定だとsudoが入っていない点にビックリ。suコマンドでrootになって、各種必要パッケージと共々、sudoもインストール。その後、sudoerファイルに自分のユーザー名を追加。これでsudoできるようになる。

それから、netplanもインストールして、LAN設定をいい感じに書いたり、ufwをインストールして簡単に設定を書いたり。もちろん、SSHできるようになった後は、公開鍵を登録してパスワード認証を禁止した。

https://mi.hk-shuttle.net/files/ce23917b-66e6-4538-bde7-18d21ba23a32

Windows端末からSSHした様子がこんな感じ。

どうでも良いけど、ホスト名には太陽や空にちなんだ名前をつける癖がある。 solarium 〈英: ソーラリウム・ソウレリアム〉は日差しがよく入るように全面をガラス張りにした部屋のことらしい。

事前検証期間

Misskeyサーバーの引っ越しにあたって、どういう構成を組むべきか、ゆっくり考えた。

自宅のルーターのポートを開けずに、Cloudflare TunnelでCDNと接続するのはほぼ確定。それ以外の構成をどうするか悩んでいた。

VPSで動かしていた頃はMisskeyサーバーとCloudflareとの間にnginxが挟まっていて、リバースプロキシとして動いていた。今回もnginxを採用しても良かったのだが、Cloudflare Tunnelを使うとリバースプロキシが不要になる。nginxは採用せず、CDNからMisskeyサーバーまで直接アクセスするという構成になった。

自宅サーバー上でMisskeyが動作するのかも検証。案の定、一発では動かなかった。原因はホスト上にNode.jsが入っていなかったこと。aptでNode.js v20系をインストールして、Misskeyが正常に起動して、データベースとも接続されることを確認。

ここまでで事前検証はほぼ終わり。真面目にやるならステージング環境とか作って、Cloudflare側の設定もちゃんと投入して、本番環境を模してエンドツーエンドでMisskeyにアクセスできることを確認すべきだと思うけど、一人で使っているサーバーなのでそこはパス。

いざ引っ越し

引っ越す前に、移行のための手順書を用意。手順書を書きながら、引っかかりそうなところがないか探したけど、Cloudflare側の設定で躓きそうだなぁ、という以外は特になし。

手順としては、

1. サーバー停止、mi.hk-shuttle.net. のDNSレコードを削除

2. データベースのダンプ

3. メディアファイルのダンプ

4. 旧サーバーから新サーバーにファイル転送

5. ダンプしたメディアを新サーバーに展開

6. ダンプしたSQLを新サーバーに投入

7. 各ディレクトリのパーミッションを確認

8. docker compose up -d

9. Cloudflare側の設定を更新

10. アクセスでき次第完了!

というのがざっくりした流れ。失敗したら切り戻してVPSでまたMisskeyを立ち上げるつもりだった。

7/23 0:30にMisskeyを止めてから、新サーバーでMisskeyが動いたのが35分後。朝までかかる覚悟だったけど、かなり短いダウンタイムで済んで自分でもびっくり。

引っ越し後はとても軽くなり、大手サーバーに引けを取らないくらいレスポンスが改善していて素晴らしい...!自分の手元のマシンで、毎日使うWebサービスが動いているというのもとても楽しい。

https://mi.hk-shuttle.net/files/fef3c94e-ebe4-43c3-b41d-a91fe53dd6ea

これが実際のサーバーマシン。リビングのルーター横に設置されている。家族が寝転がったり、飼いねこがほっつき歩いている場所に設置しているので、電源ボタンは押しても反応しないように対策済み。

今後の見通し

サーバーの引越し後、データベースの定期バックアップなどいくつかのメンテナンスを実施した。サーバーを止めて行うメンテナンスも済ませた。大きなメンテナンスはこのくらいかな。

今後は監視周りを強化したい。Zabbixの導入をゆるーく構想中。