TEAC W-800R。2016〜2017年ごろに、地元のハードオフのジャンクコーナーから拾ってきたカセットデッキです。修理して動かしてみようと思っていましたが、当時高校生だった私には手も足も出ず、押入れにしまい込んでいました。
2023年の夏に一念発起して修理し、無事に動作させることに成功しました。今も元気に動いていて、綺麗な音を奏でてくれています。
この記事では、当時行った修理の様子をまとめます。

注意
この記事は趣味で行ったDIYの記録であり、内容の正確性は一切保証できません。
まずは分解
このデッキは、ベルトが経年劣化で完全に溶けきっており、電源を入れてもリールやキャプスタンが回りません。ベルトを掛け直すには、メカを取り外すのが良い方法です。
まずは天板を外します。天板を外したW-800Rの全体図を以下の写真に示します。
手前にフロントパネルがあり、左右にカセットデッキのメカが実装されています。左がデッキ1、右がデッキ2です。フロントパネル中央にはコントロール基板が水平に実装されています。
筐体の底板には、左から電源トランス、デッキ1の録音基板、メイン基板の順で実装されています。デッキ1の録音基板が独立しているのは、デッキ1が再生専用である姉妹モデル「W-700R」との兼ね合い。

メカはフロントパネルに4本のネジで止まっており、2本のケーブルで基板と繋がっています。メカを取り出す前にケーブルを抜きます。黒いフラットケーブルは、コントロール基板のソケットに噛み合いを外すボタンがあり、上から強く押しながらケーブルを抜くと外れます。

取り外したメカはこんな感じ。
デッキ2については、マイク入力端子の基板がメカの下にくっついているため、取り外しにはさらに苦労します。マイク入力基板とメイン基板が繋がるコネクターを細いマイナスドライバーでこじって篏合を外し、デッキ2をマイク入力基板ごと外しました。脱着しにくいコネクターが使われているので、破損しないようにとても気を遣いました。

溶けたベルトの清掃

上の写真は、キャプスタンを駆動するドリブンプーリー(奥側)を写したものです。本来は平ベルトがプーリーに掛かります。左側のプーリーを見ると、ベルトが掛かるべき場所になにやら黒い汚れが。ベルトが加水分解した残骸です。加水分解したベルトを指で触ると、とてもベタベタして取れず、極めて不快です😨
写真中央の白いギアの上にも黒い紐のようなものが見えます。これは、右側のプーリーと中央のプーリーを繋ぐベルトが加水分解したものです。

上の写真は、メカを駆動するモーターのドライブプーリーです。プーリーにベルトのカスがべっとり付着しています。これは大雑把に清掃した後の写真で、分解直後はプーリーにベルトのカスが巻き付いて太く成長していました。
プーリーの清掃はうんざりする作業です。机やら手やら、あちこちに黒いカスが付着してべとつき、イライラします。部品にも一度溶けたカスが再び固着していたりするので、特にドライブプーリーの清掃は難しかったです。
アルコール(無水エタノールやIPAなど)でベルトのカスを効果的に落とせるようです。手元にあった除菌用のアルコールスプレーで代用しましたが、汚れ落ちが悪いので、ちゃんとしたものを買うほうがよさそう。
ベルトを掛ける
ベルトとプーリーの位置関係を以下の図にまとめました。図のようにベルトを張ります。
このタイプのオートリバースデッキでは、モーターが回転しているときは常に左右のキャプスタンがそれぞれ逆方向に回ります。左右のうちいずれか片方のピンチローラーがせり上がってキャプスタンに押し付けられることで、テープが送られる方向が決まります。平ベルトをこのように掛けることで、左右のキャプスタンが同じ速度で逆方向に回転するのです。

今回のデッキでは、平ベルトは直径60mm、厚さ0.5mm、幅5mmのものを、角ベルトは直径45mm、1.2mm角のものを使用しました。ベルトを掛けながらメカを組み立てるのが難しく、1時間ほど格闘しました。
ベルトのサイズはネットで調べましたが、サイズが分からないときはタコ糸などを使って採寸し、実寸よりも一回り小さなベルトを取り付けるという方法があるようです。
いざ再生

ベルトを掛け直したW-800Rで、実家のカセットテープを色々聞いてみました。
音程は狂っていたので、音楽が綺麗に録音されているテープを選んで、音感を頼りに合わせました。
デッキ1はほぼ無調整で録音も再生もできました。テープ速度を調整したほかは、アジマスもレベルもバイアスも、なにも触っていません。高音まで綺麗に録音再生できます。
デッキ2は高音がこもって聞こえてしまい、出力レベルもデッキ1より明らかに低かったです。アジマスを弄り、レベルを弄り、しまいには録音バイアスも弄ってしまい、何をどれだけ弄ったのかまるでさっぱりな状態にしてしまいましたが、デッキ1と遜色ない音が出るようになった・・・気がします。
きちんと調整するならば、校正の絶対的な基準となるテストテープが必要なうえ、オシロスコープやファンクションジェネレータなどの計測機材も欠かせません。本当はちゃんとした専門業者に出して調整してもらいたいところですが、お金もないので見送っています。
所感
カセットデッキを修理したのは初めてなので修理にはとても苦労しましたが、結論としてはプーリーの清掃とベルトの交換のみで快調に動きました。徹底的なオーバーホールをしないと正常動作しない事例も珍しくないらしく、今回の修理は簡単に済ませられたといえそう。
W-800Rを修理して1年以上経ちます。自室には置き場所もなく、相も変わらず普段は押入れにしまい込んでしまっていますが、時々思い出してはデスクに設置して、カセットテープの音を楽しんでいます。
音質にはとても満足しています。ハイポジションテープを使って、昔録音された音楽を聴いたり、現代の音楽を本機で録音再生したりしてみました。耳を澄まして聞けばデジタル音源とカセットテープの音の違いがわかりますが、普通に聞いている限りでは音質には何ら違和感がなく、音源に対して忠実に再生できているなという感じです。
使い勝手も良好です。曲のスキップもできますし、レベルメーターを見ながら録音レベルも微調整できるので、録音用としても再生用としてもほどよく実用的に使えるデッキだと思います。
それまでミニコンポやラジカセしか使ってこなかったので、テープカウンターが付いているのもすごくありがたかったです(当たり前の機能かもしれませんが)。お気に入りの曲を集めたテープを1本録音してみましたが、曲同士の間隔を微調整したりするのにテープカウンターはとても助かってます。
総評ですが、修理してとても満足しています。大事に長く使いたいです。
さらにその後
冒頭の写真にある、実家のミニコンポ(Panasonic SC-PM27MD)のカセットデッキが壊れています。懲りずに修理を試みています。
開けてびっくり!カチカチのピンチローラー!!謎の汚れ!!傷ついたキャプスタン!!サビて粉を吹いたネジ!!煤こけたようにくすんだ磁気ヘッド!!
全体的にW-800Rよりも状態が悪いです。
現在はベルトを交換し終えてコンポに組みつけたところ。ピンチローラーをどう調達するか悩んでいて、まだ修理が終わっていません。
直ったらまた記事にしますね。









