私の実家にある合併処理浄化槽が、毎年年末年始ごろからよく詰まるので要点をまとめる。
実家で使用している浄化槽について
- ニッコーNSR2型 5人槽
- 使用人数 5人
- 維持管理契約あり(年6回の定期点検、年1回の清掃)
- 清掃時期: 5月ごろ
図面や維持管理要領書は下記から閲覧できる。
販売終了機種の資料請求 | 浄化槽 | 「水創り・環境」ブランド | NIKKO ニッコー株式会社 石川県 白山市
槽内の詰まりの状況
- 流入管がつかる
- 嫌気ろ床槽1室・2室が両方とも最高水位を超えて満水である
- 嫌気ろ床槽2室と生物ろ過槽への移流部に水位差がある
- 生物ろ過槽への移送量、処理水槽からの放流量が少ない
- 大量の流入があると、本来超えないはずの仕切板を超えて水が流れる
- 槽内で設計通りに水が流れないため放流水質の悪化が懸念される
浄化槽を設置している者には、法に基づいて適切に維持管理をする義務がある。水質保全のためにも、浄化槽の詰まりを解消して設計通りに浄化槽が機能するようすべきだろう。
詰まりによる住宅設備への影響
- 洗面台の排水の流れが悪く、排水口を綺麗にしてもボウルに水が貯まる。しばらく時間が経つと流れ始める
- 浴槽の栓を抜くと、浴室に隣接する洗濯機の排水トラップの水が吸い出されて空になり、悪臭がするようになる
- キッチンのシンクに水を流すとゴボゴボという音が止まらなくなる
これらは、排水管中で2重トラップが自然発生したことによる現象。具体的には、浄化槽の流入管が浸かって汚水で満たされた部分がトラップのように振る舞う。本来のトラップは、洗面台や洗濯機パン、便器、キッチンシンクなど、水を使う場所ごとに設けられている。トラップが2重にあると、水が流れなかったり、逆に水が吸い出されたり、厄介な挙動をする。
なお、上に挙げた3つの現象は必ずすべてが起こるわけではなく、毎年症状が微妙に変わる(今年は悪臭の発生は目立たなかった)。
槽内の詰まりの原因
- 嫌気ろ床槽のろ材の閉塞
NSR2型は嫌気ろ床槽のろ材の充填量が多く、ろ材の目も細かいので、汚泥による詰まりが頻発するらしい。嫌気ろ床槽2室が特に詰まりやすいが、汚泥やスカムが多いと1室でも2室でも関係なく詰まりが起こる。
嫌気ろ床槽移流部の水位差が大きい場合はこれが原因かも。 - 間欠定量ポンプの汚れによる動作不良
NSR2型では、空気圧駆動式の間欠定量ポンプによって、嫌気ろ床槽2室から生物ろ過槽に汚水を汲み上げている。このポンプ内に生物膜が付着し、弁の作動が妨げられたり内部容積が減少すると汚水の汲み上げ量や揚程が減少する。この場合、ポンプの吐出水がエア噛みを起こす。
移流部の水位が間欠定量ポンプよりも高いのに汚水が移送されないのはこれが原因かも。
うちの浄化槽を点検した限りでは、この2つが詰まりの主な症状だと思う。他には目立った症状は確認できていない。
槽内の詰まりの解消
浄化槽維持管理業者に連絡し、臨時で詰まりの解消を行ってもらう。嫌気ろ床槽については、ブロワーでろ材の逆洗を行うことでほとんど解消する。間欠定量ポンプについては清掃方法が認知されていないのか、私が作業方法を伝えないと清掃してもらえないことが多数ある...。
対応を見ている限り、担当者によって原因の切り分けや作業内容の当たり外れがある。特に、毎回の定期点検を担当してもらっている方はあまりこの槽に詳しくないのかなという印象がある。(もっとも、浄化槽管理士よりもユーザーのほうが浄化槽に詳しいということは普通ではないと思うが...)
電話や現場での応対は非常に好印象で、対応のスピードも迅速で電話したその日のうちに駆けつけてくれる。できれば普段から良いメンテナンスをしてくれると文句はないのだけど。
たとえば車の整備や修理でも、担当いただく整備士さんによって整備や診断の質が違うということはよくあると思うが、浄化槽の維持管理でもそれと同じ現象が起きているように思う。