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東芝 DVD-R/RWドライブ SD-R5002 分解日記

SD-R5002は、東芝が2000年代初頭に製造した、初期のDVD-R/RWドライブです。DVD-R/RWへの読み書きと、CD-R/RWへの読み書きが1台で可能です。それ以前にも、DVDの読み取りとCDの読み書きができるドライブがありましたが*1、DVDとCDの両方に書き込みができるドライブとしては本機が最も初期の製品にあたります。

我が家にはSD-R5002が1台秘蔵されています(写真中段)。もともとメルコ(現バッファロー)の外付けDVDドライブに内蔵されていたもので、当時はWindows98SEのPCにつなげて使っていました。外付けケースは分解して捨ててしまいましたが、内蔵されていたドライブは今も保管しており、ATX電源などにつなげば動作します。I/FはもちろんIDE (ATAPI)。CD/DVDともに全く問題なく読み書き可能です。

性能について少し言及すると、プレスのCD-ROMは40倍速、プレスのDVD-ROMは12倍速で読み込み可能であり、読み込み速度は今でも十分実用的な速さです。私の記憶の限りでは、書き込み済みのCD-RやDVD-Rでは少し速度が落ちたと認識しています。このあたりは昔のドライブならではでしょうか。
書き込み速度は特にDVDにおいて低く、DVD-Rで2倍速、DVD-RWで1倍速と、現役で使うには物足りない性能です。また、セッションクローズしていないDVD-Rは読み込みも2倍速に律速していました(笑)。
静穏性は十分で、スピンドルモーターの音やディスクの風切り音などをよく抑えられていると思います。ただしトレイの開閉は後述する通りやかましいです。

中身が気になるので分解してみましょう。

ケースを開けるとこのようになっています。ドライブのメカ、トレイを挟んで、クランプが上に載っています(写真では外していますが、ネジ2本で留まっています)。
クランプは、ディスクをスピンドルモーターに押し付ける部品です。現在のドライブでは生産工程の簡略化のためか、クランプがケースと一体化されていたりします。クランプが独立した部品になっているのは古いドライブならではだと思います。

クランプを外すと、スピンドルモーターやピックアップユニットが見えます。
この頃にはすでに1つの対物レンズで2波長、CDとDVDの両方に対応していました。
トレイは縦置き設置に対応しており、12cmディスクを引っかけるための爪があります。また、8cmディスクを置くための溝も切ってありますが、縦置きした場合は8cmディスクを置けません。この辺りの仕様は、今の5インチ光学ドライブと大差ありません。

裏返すとこのようになっています。
プリント基板は前側と後側に分かれており、これも今の光学ドライブと大差ない設計です。ICなどが載っているメインの基板はサイズが大きく、部品点数も多いように見受けられます。

トレイを外した表側。
トレイを駆動するモーターはベルト・プーリーではなく平歯車によって減速しています。(写真ではモーターを外しています)ベルトのゆるみや加水分解が生じず、ベルト駆動と比べて長寿命ですが、「ウオーン」とにぎやかな音を立てます。
また、非常に特徴的なのがピックアップユニットの駆動方法です。多くの光学ドライブではステッピングモーターを使ってリードスクリューを駆動しますが、このドライブでは、DCモーターを歯車で減速し、ラックアンドピニオン機構を用いて前後動を生み出しています。磁石とホール素子を用いて歯車の回転を検知するほか、がたつきを減らすためにシザーズギアも使われています。凝ったつくりです。

ピックアップユニットの拡大。ピックアップユニットは大きく「ごつい」印象です。金属のダイカストのような部品が気になりますが、レーザーダイオードの放熱のためのヒートシンクでしょうか?

ここまでドライブを分解してきましたが、逆の手順できちんと組み立てて動作確認できました。年季の入ったドライブですが大事にしたいと思います。

おまけ。前面のベゼルです。メーカーロゴもなく、シンプルでどのPCに取り付けても似合うデザインですが、意匠性があってとてもよい見た目です。
茶色く日焼けしているところは、もともと外付けドライブだった時代にアクリルの窓があった場所です。白って日焼けしちゃうんですよね...。

*1:このようなドライブはコンボドライブと通称されていた