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Sola's daily diary, commit logs, and all

自宅でカラーレーザープリンターを7年使ってみたはなし。

カラーレーザープリンターNEC MultiWriter 5750C」を自宅に導入してからちょうど7年。設置してからこれまでに5400ページほどを印刷してきました。

このプリンターを購入したのは、私がまだ高校1年生だった2016年ごろ。夏休みに初めてアルバイトをして貯めたお金で買ったものです。普通、カラーレーザープリンターというと安くても定価で8万円くらいはするものですが、この機種は当時在庫処分で投げ売りされており、格安で買える定番機種としてレビュアーの間で話題になっていたのでした。私のAmazonの注文履歴を見ても、確かに当時17980円で買った模様。

当時からかなりの機械オタクだったこともあり、レーザープリンターというものがどんなプリンターなのか、使用感がすごく気になって衝動買いしてしまいました。そうして愛着が湧いてしまい、未だに愛用しています。

2018年頃の写真。Ubuntuの印刷テストページを出力した様子

7年間の経過をざっくり辿る

7年間の延べ印刷枚数は5400枚、うちカラーが1100枚程度、モノクロが4300枚程度になります。沢山印刷しているように見えますが、仮に業務で使用すれば、この10倍以上を印刷することになるでしょう。ほとんどが両面印刷や裏紙への印刷で、なるべく紙を使わない・紙を買わないような工夫もしています。

様々な印刷用途に活用していますが、資格試験や大学入試の過去問を印刷して解いたり、講義資料の印刷などに多く使用してきました。

消耗品の購入履歴としては、4色の純正トナーを1本ずつ購入するのみ。ブラックのトナー1本で公称3000枚、それ以外の3色のトナーで公称1000枚の印刷ができます。全色で合わせて2万円と一見高価ですが、1年あたり3000円を切る費用で維持できています。

耐久性についても全く問題がありません。1度も故障することなく、ノートラブルで動き続けてくれていますし、印字品質の劣化も全く見られません。新品で買った当時の印刷品質そのままで今でも印刷できます。

ただ、1年半ほど前から、トナーカートリッジ付近よりカラカラというこれまでなかった異音が発生するようになってきました。特に異常は見られませんが、トナーカートリッジを交換すると直るものなのか、気になりつつ放置しています...。

カラープリンターのメリット・デメリット

カラー印刷ができるプリンターを購入すると、名刺印刷や年賀状の印刷など、カラーで印刷したいシーンに活用できます。実際にこのプリンターで名刺も年賀状も印刷したことがあり、便利に活用しています。ですが、こういった印刷の機会は年に1~2回程度と少ないことを考えると、キンコーズやコンビニ、ネット上の印刷業者を活用するのも一つの選択肢です。

カラープリンターはモノクロプリンターと比べて選択肢が絞られます。特に、個人が購入できる安価なカラーレーザープリンターは少ないものです。サイズも大きくなりますし、消耗品コストも上がり、印刷スピードは下がります。

また、デメリットとすべきか分かりませんが、カラープリンターがあると、モノクロで刷るべき印刷物もついつい無駄にカラー印刷しがちです。授業で配られるレジュメなどもカラーで印刷したりしちゃうんですよねえ。

このプリンターを選定したことには総合的に満足しています。しかし、もしこのプリンターを買い替えるとき、次回もカラープリンターを選定するかはまだわかりません。印刷が早くて消耗品コストが安いモノクロプリンターも十分魅力的だと思っています。

カラー印刷のランニングコスト

プリンターを使用するにあたり、インクやトナーといった消耗品を購入する必要が出てきます。このプリンターでは4色のトナーを使用しますが、ブラックのトナーに比べて他の3色のカラートナーが高価です。

モノクロ印刷とカラー印刷で1枚あたりのランニングコストを比較します。

本機種用の各種純正トナーの実勢価格を公称の印刷可能枚数で割ってトナー1本あたりのランニングコストを算出します。公称印刷枚数は、A4用紙に5%の印字率で計算されています。モノクロ印刷では、ブラックのトナーのランニングコストが分かればよいですが、カラー印刷では4本すべてのトナーを使用するので、各色のトナーのランニングコストを合計します。ドラムのコストは除外しています。

この手法で計算すると、モノクロ印刷のコストは、1枚当たり1.657円であるのに対し、カラー印刷では13.657円となります。カラー印刷には、モノクロ印刷の8倍以上のコストがかかることがわかりました。

職場や学校での印刷時、カラー印刷を控えるように指示された経験がある、という人がいるでしょう。実際に計算すると、カラー印刷には高いコストがかかることがわかります。カラー印刷の代わりにモノクロで印刷をすることは、コストカットの方法として明らかに有効です。

本機種の印刷の仕組み

上図は、レーザープリンターの構造を簡略化して描いた図です。MultiWriter 5750Cを真横から見た構造をもとに作図しています。現在市販されている多くのカラーレーザープリンターは、これと似た構造をしています。

レーザープリンターは、回転する筒状の部品であるドラムや、用紙の幅ほどもある太いベルトなどで構成されています。このような部品はインクジェットプリンターにはない、レーザープリンター固有のものです。

印刷には、光に反応して伝導性が変化する半導体材料と、静電気によるクーロン力を利用しています。おおむね、次の手順で印刷が行われます。

1. ドラムは感光性の材料でできた筒状の部品であり、帯電ローラーによってあらかじめマイナスに帯電した状態となっている。

2. ドラムのうち、印字する部分にレーザー光を照射する。レーザー光を照射した部分は電荷が失われる。

3. 現像器内部ではトナーがかくはんされ帯電している。現像ローラーを用いて、ドラムにトナーを均一に乗せる。このとき、レーザー光が当たった部分にのみトナーが吸着される。

4. ドラム上のトナーを用紙に吸着させる。転写ベルトを介して用紙には逆電荷がかけられ、トナーを効率よく用紙に転写する。

5. 用紙に転写されたトナーを、高温に熱した定着ローラーで紙に溶着させる。均一に用紙を熱するため、加圧ローラーで用紙を定着ローラーに押し付ける。

6. 印刷後、ドラム表面に残るトナーは廃トナーとして回収される。

このプリンターは、トナーカートリッジが現像器およびドラムとは独立している構造です。モノクロ印刷時はカラートナーカートリッジが消耗せず、経済的です。また、カラートナーを消費しきっても、すべてのカートリッジが装着さえされていればモノクロ印刷を継続できます。
ただし、モノクロ印刷時であっても4色分のドラムが回転し、用紙と接触します。このとき、現像器や廃トナークリーナーも動作し、一様に消耗します。ドラムは4色分すべてが一体となった構造なので、モノクロ印刷が多いと勿体なく感じるかもしれません。

レーザープリンターはどの製品も似た原理で動作しますが、機種やメーカーごとに構造が微妙に違い、消耗品にかかるコストも変わります。モノクロ印刷が安価なプリンター、カラー印刷が安価なプリンター、ランニングコストが高いがイニシャルコストが安価なプリンターなど、プリンターごとに性格はさまざま。用途に合わせた選定が大事です。

このプリンターに対する不満

このプリンターに対する不満はとても少なく、全体的に非常に満足しています。

不満な点は3つあります。

1つ目は、両面印刷機能がないこと。「両面印刷機能がない」というのは真っ赤な嘘で、オプションの両面印刷ユニット(廃盤)を買えば両面印刷が可能でした。2万円程度と、当時の私には手が届かず、購入を躊躇しました。

両面印刷は手動でもできますが、印刷ジョブを2回投げる必要があり、用紙の出し入れが必要なので、少数のページを手早く印刷したいときには不便です。両面ユニットは今でも欲しいと思い続けています。

2つ目は、手差し印刷をすると紙が斜めに送られること。紙が斜めに送られると、印刷結果も斜めになり失敗してしまいます。
このプリンターの手差し印刷は、紙を1枚ずつプリンターの奥に差し込むと、モーターが紙を引き込んでくれるという方式ですが、丁寧にまっすぐ入れても、紙が引っ張られるときに斜めに送られます。

3つ目は、ハガキや厚紙を印刷するときに紙が曲がってしまうこと。このプリンターは定着ユニットの出口で紙が90度曲がりますが、このときに紙が冷えて、曲がり癖がついているようです。特にハガキの場合は両面を印刷する必要がありますが、曲がっていると紙詰まりも起こりやすくなります。
排紙部で紙を曲げてしまう構造のプリンターは多く、水平に排紙できるプリンターはあまり選択肢がありません。厚紙を印刷したい場合は考慮すべきポイントです。

余談ですが、ハガキの連続印刷時には頻繁に印刷が中断して調整運転を行ってしまいます。一説によると、定着ローラーの中央のみを紙が通過することで端部が過熱してしまいます。このとき、熱で壊れないように印刷を止めて自然冷却を行うといわれています。速さが魅力のレーザープリンターですが、本機でハガキを連続印刷すると、平均速度はインクジェットプリンターと大差ありません。

まとめ

A4のカラーレーザーを購入して7年が経過し、そろそろ8年目を迎えます。カラーレーザープリンターの多くは高価ですが、中には個人にも購入しやすいモデルが存在します。カラー印刷のランニングコストは高価ですが、モノクロ印刷を積極的に利用することで効果的にコストを抑えて運用できます。耐久性に問題はなく、適切に使用すれば印字品質を損なうことなく長期間にわたって使用できました。

印刷が高速で、文字のにじみが少なくくっきり綺麗に印刷できるレーザープリンター。印刷の仕組みを知れば、機械マニアのあなたの所有欲をも満たしてくれること間違いなし(?)。あなたもおひとつ、ご家庭に設置されてみてはいかが?

――つづく